「通知が遅い」は致命的
TradeVision FX Cloudを開発する中で、もっとも神経を使った要素のひとつが「通知の速さ」です。通知サービスにとって、遅延は機能不全と同じ意味を持ちます。
含み損が膨らんだ瞬間に通知が来ても、それが10分後では意味がありません。10分の間に相場はさらに動き、判断のタイミングを失っているかもしれないからです。リアルタイム性は、サービスの根っこに直結する要件でした。
最初のバージョンは「30秒遅延」だった
初期バージョンを動かしたとき、通知が届くまでに約30秒かかっていました。MT5から取得したデータをサーバーで処理し、メールサーバーを経由して送信する。この一連の流れに時間を取られていたのです。
30秒は感覚的には短く思えますが、急変動する相場では十分に長い時間です。実際にテスト運用すると、「届いた頃には状況が変わっていた」という場面が何度もありました。
どこに時間がかかっているかを測る
速くするためには、まず遅い場所を特定する必要があります。データ取得、判定処理、メール送信、それぞれの段階にタイムスタンプを仕込み、どこに何秒かかっているかを可視化しました。
ボトルネックは予想とは違う場所にありました。判定処理ではなく、メール送信のキュー待機時間が大半を占めていたのです。これは仕組みの根本を見直す必要があるサインでした。
非同期処理への切り替え
キュー待機を解消するため、メール送信を非同期処理に切り替えました。判定が終わった瞬間にはすでに送信のリクエストが投げられていて、後続の処理を待たない構造です。
この変更だけで、遅延は約5秒まで短縮されました。コードの行数自体は増えましたが、ユーザー体験の改善幅は大きく、開発の手応えを感じた瞬間でもありました。
残り4秒との闘い
5秒からさらに削るのは簡単ではありませんでした。残っていたのは、データ取得とサーバー間通信の小さな積み重ねです。1つ1つを0.1秒単位で削り、不要な処理を取り除き、キャッシュを工夫し、を繰り返しました。
最終的に、通知の遅延は1秒以下まで縮まりました。MT5でイベントが発生してから、ユーザーの手元にメールが届くまで、ほぼリアルタイムです。
速さは「安心」につながる
速度を追い求めたのは、技術的な自己満足のためではありません。「届いた瞬間に判断できる」という安心を、ユーザーに渡したかったからです。
1秒の差は、感覚的にはわずかかもしれません。しかし「すぐ届く」と「ちょっと待つ」の間には、信頼の差があります。これからも、目に見えない部分の品質を磨き続けていきたいと考えています。
※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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