「クリックした価格」と「実際の価格」
FX取引では、注文ボタンを押した瞬間の価格と、実際にポジションが成立した価格が、わずかにずれることがあります。このずれを「スリッページ」と呼びます。
多くの取引では数値が小さく気になりませんが、相場の急変動時には大きなずれが発生することもあります。仕組みを理解しておくと、想定外の損益に驚かずに済みます。
約定とは「注文が成立すること」
注文を出してから取引が実際に成立する瞬間を「約定」と言います。成行注文の場合、その時点で表示されていた価格に近い水準で約定するのが一般的です。
約定までには、ほんの一瞬とはいえ時間が必要です。注文がサーバーに届き、相手方の注文とマッチングされ、結果が返ってくる。この間にも相場は動き続けています。
急変動時に起きるずれ
経済指標の発表直後や要人発言の瞬間には、価格が一気に動くことがあります。注文を出した瞬間の価格と、約定したときの価格が大きく離れる現象は、こうした場面で起きやすいです。
たとえば150.00円で注文したつもりが、実際には150.10円で約定していた、ということもあります。10pipsの差は決して無視できる金額ではありません。
有利な方向にもずれることがある
スリッページは必ずしも不利な方向だけに起きるわけではありません。注文した価格よりも有利な価格で約定することもあり、これを「ポジティブスリッページ」と呼ぶことがあります。
ただし、急変動時のスリッページは経験上、不利な方向に出ることのほうが多い傾向があります。これは流動性の偏りや、業者の注文処理の優先順位が関係していると言われています。
許容範囲を設定するという発想
多くの取引業者では、注文時にスリッページの許容範囲を指定できます。「3pipsまでなら約定する、それを超えたら約定しない」というルールを事前に設定しておくのです。
この設定をしておけば、想定外の不利な価格で約定することを防げます。ただし、急変動時にはそもそも約定しないという結果になることもあります。
「予定通りに動かない」を前提に
FX取引では、自分の意図した通りに注文が処理されないことがある、という前提を持っておくことが大切です。スリッページはその代表例で、誰にでも等しく起きる現象です。
仕組みを知らないまま「約定したはずなのに損益がおかしい」と感じるより、最初から「ずれることもある」と理解しているほうが、取引中の動揺は少なくなります。FXは数字の世界ですが、その数字は完全に予測可能なものではない。この感覚を持っておくだけでも、相場との距離感は変わってきます。
※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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